-石井竜也×オーケストラ、ドラマチックな響きの競演が心の芯を揺らす-
表現とともに日本の音楽シーンの最先端を走ってきた石井竜也。2月11日、石井とフルオーケストラとの競演が日本の都市芸術の中心、Bunkamuraオーチャードホールで実現した。舞台は、石井竜也自作の天使のオブジェがライトアップされた幻想的な空間に変容。その中に、栁澤寿男指揮による東京フィルハーモニー交響楽団が登場。
まずは、盟友、千住明編曲による石井の代表曲の旋律が重なる序曲がこの演奏会の幕開けを導く。そして、いよいよ石井が登場、『THE WING OF DREAMS~夢の翼~』『Pink ChampagneNight』『LOVELY SMILE』『Party Joke』・・・、石井竜也の世界がオーケストラの多彩な響きの中で新しい生命となって次々と披露される。
「自分が当たり前だと思っていた今までの世界とはまったく別の方向からパンチを食らわされたような、今日の東京フィルの柔らかい演奏 物凄い包容力、感性や技術的なことが、自分の一個一個の鍵から溢れ『最初に戻れ!』と言われたような感じがした」
『君がいるだけで』、『浪漫飛行』を始めとする、米米CLUBの往年のヒット曲から、ソロのバラード曲『HORIZON』『幻想の理想』『君に戻ろう』等、 全17曲を歌いあげた。舞台上で魅せる、色褪せることなく、限りなく甘く、色気を感じさせる石井竜也の歌声と身体の動き。聴衆は永遠に魅了され続けるかのように酔い、珠玉の作品に宿る生命の輝きを導くかのように歌詞を一言一言、丁寧に歌う石井の姿が観客の心の芯を揺さぶった。そして、栁澤寿男指揮東京フィルハーモニー交響楽団の壮大で華麗な響きの中に生まれる歌声が、石井竜也独特のドラマチックなアートの世界を創出した。
「音楽ってなんて人を感動させられることができるんだろう。今自分が携わってるんだということを、素直に喜べる、そんな瞬間の連続だった」
最後は石井竜也の往年の大ファンと称する指揮者栁澤寿男との信頼関係による絶妙な空気感、最後に二人で手を繋ぎ、大きく腕を上げた。
「最近いろんな創作活動を行い、自分が音楽家であることを忘れがちだった時期に、今回の機会を与えていただき、後ろから叩かれたような気がした。自分がずっと歌い続けてきた曲が、まったく違う装いで演奏されること、オーケストラの練習と本番の音の違いに驚き、思い知らされた。いろんな意味でいいショックを受けた。今回このような機会をくれたビルボードジャパンと音楽を愛する全てのファンに『ありがとう』と感謝の言葉以外、思いつかない」
この日は、石井竜也の圧倒的な存在感、日本が誇るエンターテイナーであり、シンガーであることをあらためて確信せられた舞台であった。そして、次回は3月2日、世界的クラシック専用ホールとして知られるサントリーホール。日本を代表する指揮者のひとり、大友直人指揮による東京フィルハーモニー交響楽団との共演が実現する。